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水分補給の基礎知識

 

毎年、梅雨明けには熱中症患者が急増します。水分補給によって脱水をふせぐことは、熱中症予防にも、スポーツや作業のパフォーマンスを保つためにも大切です。

 

すでにあちこちで情報を得ているかたも多いとは思いますが、この機会に脱水予防の水分補給について、基本をおさらいしてみませんか。

 

1.       基本の考え方は、「失ったものを補うこと」

汗をかくと、水分といっしょに電解質を失います。そのため、汗を多くかいているときの水分補給は、水分と電解質が補えるもの(=スポーツドリンク)が適しています。

汗が少ないとき・かかないときにも水分は失われているので、日頃は水やお茶を基本に、水分補給をこころがけましょう。

※カフェインには利尿作用があるので、水分補給を目的に飲むなら、緑茶やコーヒー・紅茶よりも、麦茶やほうじ茶、玄米茶、ウーロン茶など、比較的カフェインの少ない種類のお茶がおすすめです。

2.       「のどの渇きに応じて」飲む

 スポーツや作業中に2%以上の脱水にならないことがポイントです。

 たとえば体重60kgのひとの場合、スポーツや作業の後に1.2kg以上体重が減っているような場合には、脱水が進んでいるので水分補給のフォローと見直しが必要ということになります。

 体内の水分を1%失っただけで、のどの渇きを感じます。そのため、のどの渇きに応じてこまめに水分補給をすること(水筒を手元におくなどいつでも飲める環境づくりも大事)で、大幅な脱水は防げる可能性があります。

 ※ご高齢の方は、のどの渇きを感じにくい特徴がありますので、生活の中で飲むタイミングを決める、意識してこまめに飲むなど工夫すると良いでしょう。

3.       脱水リスクを簡単にチェック!

 上に書いたように、スポーツや作業前後の体重を比べることで脱水のリスクを知ることができますが、より手軽にチェックする方法として「尿の色・量の観察」があります。

脱水が進むと尿の色が濃く、量が少なくなります。逆に、尿の色が薄く、多量にでるようであれば、体内に水分が十分にある状態と考えられます。右の図の1~3くらいの色だと良いですね。

スポーツや作業の前には、水分が十分な状態をつくっておきましょう。

 ※ビタミン剤や栄養ドリンクを飲んだ後は、脱水状態にかかわらず尿の色が黄色になることがあります。

 

4.       脱水のときには、「電解質を含む飲料」を

脱水がおきているとき、電解質を含まない水ばかり飲んでも脱水状態から回復できないことが知られています。これは、“自発的脱水”といい、体液が薄まるのをふせぐためのからだの反応です。

脱水・熱中症予防にはスポーツドリンク、熱中症の症状が現れたときには経口補水液(スポーツドリンクよりも塩分濃度が高い) を活用しましょう。

※運動が長時間に及んだ場合には、脱水を補うため経口補水液の活用を考えたほうが良い場合もあります。

 

画像出典:効率的な水分補給/大塚製薬